【感想・ネタバレ】失業賢者の成り上がり~嫌われた才能は世界最強でした~【地獄の沙汰も金次第なろう系マンガレビュー】
Youtubeに投稿した動画の内容をぎゅっとまとめてご紹介し、動画では言えないことも言っちゃうコーナーです!
情報
作品名:失業賢者の成り上がり~嫌われた才能は世界最強でした~
原作者:三河ごーすと
漫画:おおみね
出版:集英社(ヤングジャンプコミックス)
コミカライズされる前の原作WEB小説があるのかと思いましたが、存在しておりません。
原作者「三河ごーすと」氏は、「小説家になろう」や「カクヨム」で掲載をしている素人作家ではなく、「第18回電撃小説大賞」にて銀賞を受賞してデビューした、れっきとしたプロラノベ作家さんなんです!
ですので、原作小説は存在しておらず、初出はヤングジャンプコミックスです。原作は漫画、という表現が正しいですね。
(明らかになろうの系譜を辿っているので、ここでは「なろう系」と表現しています。)
あらすじ
冒頭で、噛ませドラゴンを腐食させて、跡形も無く消し去ってしまう主人公「カルナ」
13歳で成人扱いされ、【天啓の儀】により職業と才能を決められる世界で、
カルナは【賢者】の職業と【死霊術】という才能を授かった。
それに目をつけた、伝説の勇者パーティーに誘われ、冒険の旅に出る!
そして1ヶ月・・・
女バトルマスターさんはカルナの放つ魔法が汚くキモいから前衛で戦えず、
女聖騎士さんは不浄な魔法が生理的に受け付けられず、
勇者さんは美少女と旅がしたいので、いくらカルナが戦力になっても女性の意見を尊重し、
試用期間中だったので、いくら活躍しても報奨は0で追放されてしまった。
「あ!でもこの展開、吟遊詩人が唄う『パーティ追放系』っていう物語だ!だったらこれから良いことあるぞ!」
「失業賢者の成り上がり~嫌われた才能は世界最強でした~」1巻より引用
とポジティブシンキングで、転職活動を始めるカルナ。
しかし、勇者パーティを1ヶ月で辞めさせられたのが響き、有能人材であっても誰も受け入れなかった。
そして現在、ドラゴンを倒した洞窟で、結界が張られた王城を見つけた。
【経年劣化】で王城の門ごと結界を破壊し中へ入るカルナ。
そこへ、ベルフェゴールという魔人が現れ、コンマ1秒であの世行きになる雷魔法を放ち死亡・・・
はせず、カルナに憑いていた霊が人型化し、魔法を防いだ!
その霊の正体はなんと、【旧神ノーデンス】だった!
「失業賢者の成り上がり~嫌われた才能は世界最強でした~」1巻より引用
お返しに、同じ魔法を放ちベルフェゴールを絶命?させた。
それを見かねてか、ボンッキュッボンッな色欲を司る犬耳魔王様が現れ、カルナを一発で賢者と見抜き、
ノーデンスが攻撃しただけなのに、カルナの死霊術は素晴らしい!欲しい!となり、
契約金200万ゴールドと年俸2000万ゴールドで人類を裏切れと言われ、即断即決で人類の敵になったカルナ。
魔王城へ再就職できた人類の敵カルナの生活が始まるのだった。
感想
無自覚系俺TUEEE!
正直、それ以上でもそれ以下でもないです。
プロラノベ作家という情報がない時に台本を書いたので、なんとも思わかなったのですが、これをプロ作家が書いてると思うと・・・
全然全くこれっぽっちも独自性がなく、真新しさの欠片も見つけられない作品書いて恥ずかしくないの?って思っちゃいます。
小説一つ書いたことのないメイド風情が何上から目線で物を言ってるの?って不快になるかも知れませんが、いち消費者として感想くらい言わせて下さい。
主人公が魔王側について人間を裏切る、なんて設定も時々見かけて新鮮味があるわけでも無い。
成人になったら加護やらなんやらが貰えるのも、おねショタ系も、無自覚系俺TUEEE!もよくある設定。
この作品におけるオリジナリティって何?プロラノベ作家でもこれくらいが普通なの?
別に主人公には不快感はなかったので、たまにはこういう作品もいいなーくらいの感想です。
以前レビューした、「その劣等騎士、レベル999」の修行なしバージョンみたいな感じです。
神様から力を貰ってベリーイージー!即日最強!ってやつです。
努力せずとも、勝手に自分の得意な事を知れるというのは非常に有り難いですね。
で、その「職業」というものまで与えられているのですが、どんな影響があるんですか?
その説明が一切ないので、必要ある?と思っちゃいます。
せっかく「職業」という設定を出してるんですから、こんな影響があるよ、もしくはただの称号みたいなものだよ、という説明が欲しかったですね。
それによって、主人公自身が元から強いのか、【賢者】という職業になったから強くなったのかが分かりますし。
元から強かったのなら、「さすが俺TUEEE!ですね!その強い理由は何?」となるし、職業由来だったら「恩恵が強いだけなのね」とスケールダウンしますし。
お金で人類を裏切る
お金に釣られて勇者パーティーに同行し、更にお金で人類を裏切り魔王軍へと参入する現金な性格はヤバいんじゃないのかなーって思います。
どうせ、これよりも好条件を出されたら裏切るよ?だってお金でしか物を考えていないんだから。
ここで魔王が
「金で裏切るような奴は信用できない!」
と言って戦闘になれば面白かったですね。(Youtubeコメントで見かけて気に入りました)
あと、魔王との契約で「契約金200万ゴールドと年俸2000万ゴールド」と言われているのですが、契約金の方が少ないのって現実的なのでしょうか?
あの世界では年俸の方が高いんだよ!と説明されればそれで納得なのですが、違和感はありますよね。逆じゃない?って思っちゃう。
こういう無駄な所で思考を途切れさせるのって下手だなぁって感じますね。すんなりと読ませてくれないのが辛い。
それに、魔王から貰ったお金って使えるの?それって魔界(って言えば良いのかな?)でしか使えないお金だったりしない?
どうして人間側のお金をそんなにたくさん持ってるの?って疑問点が出てきちゃいますよね。
それくらいの設定は考えていそうですが、何もOutputはしてくれませんでしたね・・・
お金にがめつい理由は、「貧乏ながらも育ててくれた祖父母を裕福にさせたい」という理由があるにはあるのですが、人類を裏切ってまで得たお金を貰って喜ぶものでしょうか?
現代に置き換えるとなんでしょうね・・・テロ国家から引き抜きがあったからテロ活動するよ!って感じでしょうか?
そのお金を祖父母に渡しても受け取らないと思うんですよ。
本当によく考えて行動してるの?って感じです。
これは「ショタだから」と言って割り切れる話ではないですよ。
いくら子どもであってもそれくらいの分別は付くでしょう。しかも、あの世界では既に成人している身なんですから。
「旧神」の扱い
カルナはノーデンス含め旧神達を従えています(旧神ノーデンスはクトゥルフ神話からの丸パクリって恥ずかしいと思わないの?)。
しかし、この「旧神」達は人類の裏切りによって殺され、何千年もの間封印されてしまっていたんです。
なんで人類に対しての憎悪が全く無いの?
ただのノーデンスおじいちゃんに成り下がってるんですよね・・・
「失業賢者の成り上がり~嫌われた才能は世界最強でした~」1巻より引用
この旧神達はどうやら、魔族に対して人類と同じような加護を与えているんです。分かります?人類の敵に対して加護を与えている意味が。
どうして従っているのかが全く不明です。
後に説明があるのかも知れませんよ?でも、最初に出会った場面が描写されているのに、人類に対しての考えが表現されていないのは単に設定を考えていないだけじゃない?
時系列合ってる?
時系列順に並べると、
13歳の誕生日→旧神達を従える→勇者とパーティーに→1ヶ月後、追放→(月を跨がず)数日後、魔王セシリアと会い、人類を裏切る→翌日、ダンジョン奪取
です。
ほぉ?
ダンジョンを奪取した際の描写に、旧神を従えたのは「数カ月後」と書いてあるんです。
「失業賢者の成り上がり~嫌われた才能は世界最強でした~」1巻より引用
しかし、時系列的に旧神を従えてからダンジョン奪取まで長く見ても2ヶ月なんですよ。
セシリアと会う1ヶ月前に誕生日を迎えていますから。で、誕生日を迎えて勇者パーティーと1ヶ月一緒にいたわけです。
ん?ん?どうなってるの?(汗)
更に言うと、祖父母との会話って、たった今儀式受けて帰ってきました!みたいな会話なんです。
「失業賢者の成り上がり~嫌われた才能は世界最強でした~」1巻より引用
分かりますか?この違和感。
ノーデンスおじいちゃんが既にいるんです。
さらに言えば、他の幽霊達はノーデンスおじいちゃん達を攻略してから従えた幽霊です。
儀式受けて、ノーデンスおじいちゃん達を従えた後にする会話としてはおかしいですよね。おかしくない?
結果として、何を言いたいかと言いますと・・・
作家って結局はなろう作家レベルなんじゃない?
ディスカッション
コメント一覧
ネタに困ってラノベから適当につぎはぎして漫画用に作った作品なんでしょうね。
ヤンジャンになろう系の組織とのつながりがなかったか、面白そうな作品は既に手が付いてて、
しかし最近はやりの作品を本誌に載せたい、なのでつてのある作家に原作を依頼したと。
というか、なろうだとかで書いてたら、突っ込みが入って修正入れてたのではと思います。